性の境界

精巣“移植” 倫理的課題も 産経新聞 2011/02/22 05:00

神の領域
精巣や卵巣を摘出する手術は患者から生殖能力を奪う-。この常識を覆そうとしているのが、岡山大病院形成外科の准教授、難波祐三郎(50)だ。
5年前からラットを使って精巣と卵巣の移植実験を始めた。異性間移植が成功すれば、性同一性障害を抱える患者が定期的に続けるホルモン投与をしなくて済むという発想が出発点だ。
すでに雄ラット同士の精巣移植は成功しており、移植後の精巣からは新たに男性ホルモンと精子が作られている。
性転換する女性に、男性から性転換する患者の精巣を移植し、自らの遺伝子を持った男性ホルモンと精子を形成する-。難波はそんな未来像を思い描いてこういう。「生まれてきた以上、自分の遺伝子を残したいのは本能だ」
本来は不可逆である生殖機能を性転換患者に移植することは、“神の領域”への侵食とならないか。性の境界では今、新たな倫理的課題が人類に突き付けられている。=敬称略

コメントは受け付けていません。